リビングには様々な物が雑然と置かれ、掃除が行き届いていないようだった。
母親は寝室に篭もり臥せっている様子である。
父親は台所に立ち、お茶の支度を始めた。
「加藤さんお構いなく、直ぐに帰りますから」と鮫島が声を掛けるが返事は無かった。
2階の部屋から階段を降りてくる足音が聞こえた。
現れたのは次男だった。
鮫島の存在に気がつき慌てて戻ろうとする。
その時、父親がお茶をお盆に載せ居間に入って来た。
「おい 刑事さんに失礼だろ 挨拶しなさい」と注意したがその声には生気が無かった。
閉まりかけたドアが止まり、加藤智大の弟が顔を出して鮫島に頭を下げた。
「お前もち� ��っとここへ来て座れ、智大の事で刑事さんが話しを聞きたいそうだ」
渋々、彼はリビングのテーブルに座った。
高いprotien口臭
(兄弟にしては、似ていない顔だ 兄は父親似で弟は母親似なのかもしれない)と鮫島は思った。
「どうぞ・・・」と湯気のたつお茶を鮫島の前に父親が置いた。
頭を下げた鮫島が、掛け時計の針が打つ音だけが響く室内に咳払いをひとつして話しを切り出した。
「智大君が最後にこちらの実家に戻られたのはいつ頃でしたか お父さん?」
「あれは3年前の夏に智大が帰ってきた時が会った最後でしょうか」
「短大を卒業して、地元で就職したのですが直ぐに辞めて、そして青森に戻ったのでした」父親は一口お茶を含んで話しを続けた。
「私は仕事の世話をしてやりました」
「取引先の運送会社に頼み込み就職したのです」
「しかし続 かなかった・・・」
「ある朝、智大が出社前の私に突然声を掛けてきました」思い出すように一点を見詰めた。
特別な食事や食品は、にきびに影響を与えることができ
「父さん ごめん いつも迷惑ばかり掛けて 俺 や・り・な・お・・・・私は最後まで言わせませんでした」
そして言ったのです。
「智大よく聞くんだ お父さんとお母さんは別れることにしたから」
「もうお前の面倒をみる事は出来ないから一人で生きていくことを考えろ」
「わかったな」
「・・・」
「その時の智大の顔が今でも忘れられません」
「目から見る見る生気が萎えていくのが感じられました」
「私は内心、ざまあみろと笑い出したくなりました」
「今まで親の言うことに歯向かってきた報いだと思い知らせた気持ちでした」
「下の子も引きこもりになっていましたし� ��妻とも当時夫婦生活は破綻していました」と言って次男を見た。
「私は子供たちから逃げ出したかったのです」
「人生の落伍者たちを見ているのが辛かったのが正直な気持ちでした」
「私は高卒です、どんなに苦労して今の会社の地位に就いたか 子供たちには想像出来ないでしょう」
はっと気がついたのか、父親が鮫島の顔色を窺い言葉を止めた。
「失礼しました、余計な話しだったですね」
「智大はその日の午後、家から出て消息が掴めなくなりました」
「それが最後でした」
鮫島は頷き、質問の矛先を弟に向けた。
「君はお兄さんと連絡を取り合っていたのかな」
「アレは俺とは関係ない 兄弟と思ったことは無かった」と吐き捨てるように呟いた。
「よく精神状態が病んでいたから殺人を起こしたと云うけど、アレは精神的な病などになる性格ではありません」
「アレはやったことは後悔しても反省はしていない」と断� ��するように鮫島に向かって言い放った。
「由ちゃん そんな事を言うもんじゃないわ」と背後から消え入りそうな声がした。
鮫島が振り返ると、やつれ果てた姿で母親が寝室から出て来た所だった。
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