2012年5月16日水曜日

更年期障害 | 病気治療の辞典


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ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)


更年期に顕著に見られる症状。

50〜75パーセントの女性に生じる。

典型的な発作として、肌が紅潮し、顔や背中や胸にどっと汗が流れる。

暑く感じ、動惇がする。

こうした症状がたいてい1分から3分つづき、そのあと冷えを感じる場合が多い。

この発作は一日に数回起こることもあれば、ときたま起こるだけということもある。


なにもしないのに自然に起こることもあるが、どちらかといえば、

暖房が強すぎたり、アルコール、カフェインの入った飲み物、熱い飲み物を飲んだり、香辛料のきいた食べ物を食べたり、ストレスがかかったりすると起こる。

なにが原因でホットフラッシュの発作が生じるか、どのくらい激しいか、どのくらいつづくかは個人によって違うが、それぞれの発作のパターンは一貫していて予測できる。

夜中に大量の汗をかいて目がさめ、ふだんの睡眠パターンがくずれるために、翌日、疲労感が残りいらいらするというのも、更年期の女性に特有のもうひとつの症状である。


ホットフラッシュの症状は、出たり引っこんだりしながら2、3ヶ月で終わる人もいれば、5年以上つづく人もいる。

生活を脅かすほどのことはないが、不快だし不便だ。

ホットフラッシュはエストロゲン不足によって起こる。

人間の体は通常きわめて効率的に体温を一定に保っている。

この体温調整機能をコントロールしているのが脳の視床下部で、その視床下部の働きに影響をあたえるのがエストロゲンである。


エストロゲンが減少すると、視床下部が反応し、たちどころに体温を上げてホットフラッシュを起こす引き金となるホルモンの分泌をうながす。

こうした症状が血管運動を不安定にし、血管の膨張や収縮となってあらわれるとされている。

エストロゲンを補充すれば、ホットフラッシュをふせぐか、症状を軽減することができる。

しかし、エストロゲン補充療法をうける気がない人は、とくに夏場には、綿の軽い服を重ね着し、発作が起きたらすぐに氷水を飲むとよい。

チョコレートやアルコールやカフェインを避けたほうが、症状が楽になるという女性もいる。

降圧剤のクロニジン(「カタプレス」)もしばしばホットフラッシュの発作をふせぐ効果があるが、副作用が多すぎ、とくにめまいや疲労感をともなうという副作用みたいなものもある。

それに、この薬は急に服用をやめると、禁断症状をひきおこすおそれもある。

膣の乾燥


エストロゲンが乏しくなると、膣が乾き、短く狭くなり、脛の粘膜が薄くなって、感染症、炎症、尿失禁にかかりやすくなる。

こんな状態では、セックスは快感よりも苦痛しかもたらさない。

だからといって、怖じ気づいてやめてしまうことはない。

こうした不利な条件でも高いレベルの性生活をつづけていれば、長期にわたって脛を使わないことによる脛壁の衰え(萎縮)を最小限に抑えることができるからだ。

事態を一時的に改善する方法がいくつかある。

「KYゼリー」のような水性の潤滑剤や「レプレンズ」(処方箋がなくても買える)のような脛にうるおいをあたえるクリームを使用するのもそのひとつであり、

弱くなった腔の筋肉の緊張状態を強めて、性感を高め、尿失禁をふせぐやり方を覚えるという方法もある。


こうした、骨盤や泌尿生殖器の筋肉を意識的に収縮させる方法をケーゲル体操という。

かかりつけの婦人科医やちゃんとした理学療法士なら、この体操のやり方を教えてくれるだろう。

こうした改善方法はいずれもそれなりの効果はあるが、ホルモン補充療法ほど有効ではない。

ホルモン剤には飲み薬と貼り薬と脛クリームがある。

腔クリームは即効性があり、数週間で効果があらわれるが、飲み薬と貼り薬は、脛のうるおいが正常にもどるまでに数ヶ月かかる。

尿失禁


更年期の女性の25〜50パーセントが経験してとまどいを覚えている一般的な症状。

膵の場合と同じく、エストロゲンの分泌が少なくなると、尿管も粘膜が薄くなる。

膀胱の働きを左右する骨盤の筋肉も弱くなる。

尿道(膀胱から尿を送る管)の収縮圧が低下して、尿が体外に漏れるのを抑えきれなくなる。

だから、くしゃみやせきをしたり、笑ったり、運動をしたとき、尿が漏れてしまう。

尿失禁もケーゲル体操などで骨盤の筋肉を強化することで改善できるが、ホルモン補充療法のほうが有効である。

エストロゲンが、骨盤周辺の器官への血液の循環をよくして筋肉を強くする。

ホルモン補充療法でも治らず、体操をしてもだめで、おむつやパッドをつけて暮らさなければならない場合には、外科的に症状を改善するかどうか、かかりつけの医師と相談するとよい。

乳房の垂れ


更年期の多くの女性にとって悩みの種である。乳房が垂れるのは乳腺組織が脂肪に変わってしまうからだ。

だから、乳房が大きいほど垂れもひどい。

垂れを最小限に抑える唯一の方法がホルモン補充療法で、これは乳房を支える乳腺組織が脂肪に変わるのを遅らせてくれる(もっとも、エストロゲンには乳腺を増殖させる働きもあるので、この療法をうけた女性のなかに乳房が張った感じがすると訴える人がいるのは、おそらくそのせいだろう)。

乳房には鍛えるべき筋肉がないから、体操をしてもむだである。ホルモン補充療法でも乳房の垂れをとめられず、胸のかたちが気になる女性には、美容整形という手段もある。

体毛の変化


閉経期にエストロゲンが減ると、相対的に男性ホルモンのテストステロンが増える女性がいる。

そのせいで、体や顔のうぶ毛が太く濃くなり、頭髪や恥毛が薄くなる。

こうした変化への対処法はいくつかあるが、いちばん有効なのがホルモン補充療法である。

とはいえ、電気脱毛治療をうけたり、自分で抜いたり、脱毛クリームを使ってむだ毛の処理をしてもよい。

皮膚の老化


長時間にしろ短時間にしろ日光を浴びるのが好きだった女性は、皮膚がたるんだり、皮膚にしわがよったりしやすい。

喫煙の習慣は事態をさらに悪化させる。そして、エストロゲン不足がとどめの一撃となる。


Thermaのスキャンにきび治療

更年期に皮膚が薄くなり、弾力性を失うのは、皮膚に張りをもたせる物質(コラーゲン)をつくる力が衰えるからだ。

こうした変化にたいする対処法として、ホルモン補充療法には皮膚の正常な厚さを保持したりコラーゲンをつくる力を高めたりする傾向がある。

気分の変化


生理のときに気分が変化するのに気づくかもしれない。

落ちこむ、いらいらする、集中しにくい、夜よく眠れない、といったことがあるかもしれない。

だからといって、すぐにそれをすべてホルモンのせいにしてはならない。

人生にはほかにも厄介な問題があって、そんなふうに感じることもあるからだ。

ホルモン補充療法でも問題が解決しないときは、カウンセリングや心理療法をうけることも考えてみるとよい。

性欲の減退


ホルモンの分泌力が衰えると、性欲にも影響があらわれる。

エストロゲン補充療法をうけても情熱が回復しない場合は、かかりつけの医師に少量の男性ホルモン(ひげが生えない程度)の投与を相談してみるとよい。

骨粗髭症とは、骨のカルシウムが不足し、骨が薄くなり、骨折しやすくなる疾患で、閉経後の女性にとっては死や身体障害につながる場合も多い。

若いころは、食べ物でとったカルシウムが骨に蓄積され、エストロゲンの作用で骨にとどまっている。

しかし、卵巣のエストロゲン分泌能力が低下すると、カルシウムが骨に沈着しなくなり、それどころか、骨にすでにあるカルシウムが溶出しはじめる。


骨粗紫症をふせぐには、こうしたメカニズムと逆のことをすればよい。

つまり、理想を言えば、更年期の女性はエストロゲンを服用し、十分なカルシウムを食事や栄養剤で摂取し、

骨に必要などタミンDをつくれるように皮膚にたっぷり日光を浴び、運動をするべきである。

痩せすぎ、喫煙、適量以上のアルコールはいずれも骨粗素症を悪化させる。

エストロゲンに代わり、骨粗紫症を遅らせる効果のある薬剤がいくつかある。

「フォサマックス」、カルシトニン、持続性フッ化ナトリウム、ラロキシフエン(「エビスタ」)などである。

心臓疾患


閉経前の女性は、女性ホルモンのおかげで心臓発作が起きにくい。

しかし、エストロゲンが低下すると、総コレステロールが増え、「善玉」のHDL(コレステロールを運搬する血中の構成要素、高密度リポタンパク)が少なくなり、

「悪玉」のLDL(低密度リポタンパク)が多くなる。

こうした変化がプラーク(血管壁にたまった脂肪による盛りあがり)の形成を促進し、結局は冠状動脈を詰まらせてしまう。

エストロゲンを補充すると、総コレステロールを下げ、HDLを上げ、LDLを下げることで、この作用を遅らせることができる。


ただし、すでに心臓疾患にかかっている女性がエストロゲン補充療法を始めるのは危険なケースもあるようだ。

心臓疾患をかかえる更年期の女性にはホルモン補充療法を処方しない。

しかし、すでにエストロゲンを服用していて心臓疾患が見つかった場合には、急にエストロゲンの服用を中止してはならない。

服用をつづけることの是非を、かかりつけの医師と相談すること。

エストロゲンを服用しているからといって、常識まで捨ててしまう免罪符にはならない。

血中脂肪は心臓疾患の重要な危険因子ではあるが、これだけが危険因子というわけではない。

自分の体を守るためには、高血圧、糖尿病の場合の高血糖、肥満、運動不足、喫煙、ストレスなどの対策も講じなければならない。

エストロゲンを服用しようとしない女性が多いが、その大きな理由のひとつは、がん、それもとりわけ乳がんや子宮がんにかかる危険性が増すのではないかという不安である。

その不安にはたしかにある程度の根拠はあるが、エストロゲンの補充は、がんよりも死につながる危険性がはるかに大きい心臓疾患にかかるリスクを減らしてくれる。

肝心なのは、エストロゲンを服用している女性のはうが長生きでき、よりよい人生を送れるということだ。

糖尿病


エストロゲン補充によって予防あるいは改善できる疾患のひとつに、最も新しくくわえられた。

成人病にかかっている更年期の女性2万4000人以上を対象に最近おこなわれた大がかりな研究で、エストロゲンを服用している女性のほうが血糖値が低いという結果が出た。
また、エストロゲンを服用していない女性は、糖尿病の発症率が服用している女性の五倍という結果も出ている。

なぜエストロゲンに血糖値にたいする好ましい効果があるのかはあきらかではない。

だが、大多数の研究者は、エストロゲンがおそらく体のインスリン抵抗性を低くするので、血糖値を低下させるインスリンの働きを高めるのではないかと考えている。

こうした研究データを踏まえて、糖尿病の家族歴のある更年期の女性はホルモン補充療法を考えてみるのもよいのではないだろうか。




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病気の予防や治療で、合成の薬剤やホルモンに代わる「自然の」物質や栄養素にたいする関心が著しく高まってきた。

そうした物質はフィトエストロゲンと呼ばれ、更年期症状の治療に使われるエストロゲンに代わるものとして普及しているものもある。

食事に含まれるフィトエストロゲンはおもに果物、野菜、肉から摂取される。

とりわけ集中的に研究されてきたのが、リグナンイソフラボンの二つである。

リグナンは穀類、食物繊維、亜麻の種子、果物、野菜を腸内細菌が分解してできる。

イソフラボンは大豆をはじめとするマメ科の植物に含まれている。

エストロゲンが体のある器官に作用するのは、ある特定の部位でその器官に付着し、その部位の「受容器」細胞が実際の結合を可能にするからである。

フィトエストロゲンは多くの植物からつくられた化合物である。


写真にきび痕前後にきび

この化合物のユニークなところは、その受容器部位でエストロゲンに括抗する点である。

エストロゲンがやってきて、ある受容器細胞に付着しようとすると、そこにはすでにエストロゲンとよく似た「自然の」化合物フィトエストロゲンがいるというわけだ。

フィトエストロゲンのほうが弱いのだが、ホルモン様作用をする仕事を奪ってしまうのである。

更年期の女性にフィトエストロゲンを使用するのを支持する論拠のひとつは、フィトエストロゲンを豊富に含んでいる大豆食品をたくさん食べるアジアの女性のほうが更年期症状が少ないことである(ただし、骨粗素症の発症率は高い)。

乳がんや心臓疾患も少ないという、きわめて説得力のある疫学的統計もある。

こうしたアジアの女性が西洋に移住して西洋式の食事をするようになると、あきらかにこのような長所がなくなってしまう。

                                        フィトエストロゲンはアメリカでビッグビジネスになっている。

とりわけ人気があるのは生薬の当帰、サラシナショウマ、さまざまな大豆食品、亜麻の種子などである。

当帰には強い薬理作用とエストロゲン様効果があり、東洋では漢方薬として何世紀にもわたって使われてきた。

だが、使用しないようにと注意をうながす西洋の薬理学者もいる。

クマリンやサフロールといった、その活性成分のいくつかに毒性があるのを心配しているのだ。

サフロールは当帰の精油成分である。

それにくらべると、サラシナショウマは安全で効き目もあるようだ。

代替医学の文献には、ホットフラッシュを抑えるのに有効だという記述がたくさん見られる。

それに、エストロゲンに帰因する(乳房、卵巣、子宮の)がんの発生を抑制する効果もある。

プロゲステロンと違って、コレステロール抑制に効能があるらしい。

健康食品の店で「レミフェミン」という商品名で売っている。

こうしたフィトエストロゲンを試してみるなら、大豆食品や亜麻の種子のほかに、これがいちばんよいだろう。




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更年期に分泌が激減する性ホルモンが3つある。

エストロゲンプロゲステロンテストステロンである。

これらのホルモンのいずれかの分泌量が低下すると、更年期症状となってあらわれる。

しかし、総じて、更年期症状で主役を演じるのはエストロゲンである。

子宮がまだある人は、エストロゲンと併せてプロゲステロンも服用しなければならない。
エストロゲンだけでは子宮体がんにかなりかかりやすくなるが、プロゲステロンを併用すれば、その危険性が少なくなる。

ただし、子宮を摘出してしまった人はプロゲステロンを併用してはならない(エストロゲンだけを補充する場合をERTといい、

ほかのホルモンも処方にくわえると、ホルモン補充療法あるいはHRTという)。


ここでは、便宜上、更年期のホルモン補充療法にHRTという用語を使うことにする。

ホルモン補充療法のよい面、悪い面欠乏するホルモンを補充すると、更年期の厄介な症状を緩和したり取り去ったりしてくれるだけではない。

それより大事なのは、骨粗髭症、脳卒中、心臓発作、アルツハイマー病をはじめ、老化のあらわれであるもろもろの疾患にかかる危険性を減らしてくれることである。

しかしホルモン補充療法をうける女性はほんの一部にすぎない。

更年期症状のほとんどが時とともに軽減して、やがては消失するからだ。

多くの女性は、副作用があり、子宮体がんに(それに、おそらく乳がんにも)かかるおそれのあるホルモン補充療法をうけるよりも、更年期が過ぎるのを待つほうを選ぶ。


しかし、覚えておかなければならないのは、たとえ更年期の症状は消えても、エストロゲン欠乏によっていくつかの深刻な疾患にかかる危険性が高くなることまで解消されるわけではない、ということだ。

女性はみな、自分の健康状態に応じてHRTをうけるかどうかを自分で判断しなければならない。

たとえば、家族歴から見て乳がんの発症率が高い場合は、自分も乳がんになる危険性がすでにかなりあるのだから、その危険性をさらに大きくするようなことはしないほうがよい。

いっぽう、心臓発作の危険因子をいくつかかかえているとわかっている場合は、発がんの危険性や以下に述べるような厄介な副作用を覚悟してでも、HRTをうけてみようという気になるかもしれない。

また、一度でも骨折したことがあり、骨密度検査で骨がもろくなっているとわかっている場合にも、同じくHRTの恩恵をうけるために、その有害作用を覚悟するほうを選ぶかもしれない。

HRTにはさまざまな利点があるが、もっぱらその利点だけを享受できるわけではない。つぎのような危険性と副作用もあるからだ。

子宮体がん


子宮がある女性は、このがんの発症率を低くするために、エストロゲンのほかにプロゲステロンを併用すること。

エストロゲンを服用している更年期の女性のほうが、手術を要する胆嚢疾患にかかる場合が多い。

エストロゲンにもプロゲステロンにも、吐き気と嘔吐、乳房が張って痛む、体液の停留(むくみ)など、症状をともなうさまざまな副作用がある。

体液の停留は、ぜんそく、てんかん、偏頭痛、腎臓疾患、心臓疾患といった現在かかえている症状をさらに悪化させるおそれがある。

プロゲステロンを服用すると、「生理」や、やっと解放されたと思っていた月経前症候群(PMS)さえもどってくることがある。


ホルモン誘発性の乳がんにかかる可能性については、だれもが納得のいく因果関係はまだ証明 されていないものの、

とくに家族歴から見て乳がんの発症率が高い人にとっては、知っておくべきまざれもない不安材料である。

エストロゲンだけの補充療法をうけてプロゲステロンを併用しないと、動脈の痙縮が起こる可能性がある。

これはレイノー現象という血管の病変としてあらわれ、指先、鼻、ときには耳たぶが、寒気にさらされると青白くなり痛む。

これらの部分の細い血管が収縮するからである。


にきび傷跡最良の選択肢を削除する

偏頭痛、冠状動脈の一過性収縮による狭心症(プリンズメタル型狭心症)、肺の血圧上昇(肺 高血圧症)といった、更年期の女性がかかるそのほかの血管障害もこうした血管の痙縮によるものと考えられる。

エストロゲンにプロゲステロンを併用すれば、このような異常はいっさい生じない。

レイノー現象や偏頭痛、理由のわからない肺の機能障害があって、子宮を摘出した あとエストロゲンだけを服用している場合は、医師に相談すること。

痙縮による障害を予防するために、プロゲステロンを併用するのが賢明だろう。


こうした弊害があるにもかかわらず、わたしはHRTを熱心にすすめている。

危険性や副作用をうわまわる利点があると思うからだ。

ちなみに、HRTはいったん始めたら、ずっとつづけるべきだとわたしは考えている。

長くつづけるほど、その利点がいきてくるからである。

エストロゲンが心臓疾患を予防し、エストロゲンを服用するほうが長生きでき、よりよい人生を送れる。

だが、プロゲステロンを併用すれば、そうした心臓疾患にたいする予防効果が低下するではないかと指摘する。

その指摘はたしかに正しい(とはいえ、予防効果は低下するかもしれないが、ゼロになるわけではないのである)。

エストロゲンの使用に反対する医師は、エストロゲンが乳がんの発症率を高める危険性を重視する。

その危険性については疑わしいとする医師もいるが、わたしはその危険性がたぶんあるだろうと考えている。

しかし、心臓疾患や股関節などの骨折によって死亡したり体が不自由になる危険性のほうが、乳がんの躍患率や死亡率をはるかにうわまわっている。

エストロゲンを服用していて乳がんが心配な人は、年に二回は乳がん検診をうけ、年に一回、乳房のX線写真(マンモグラフィー)を撮ってもらうとよい。

ただし、遺伝的に見て乳がんにかかる危険性が高い人、つまり、BrCa1あるいはBrCa2遺伝子をもっている人の場合は、HRTをうけるべきではない。

これらの遺伝子は乳がんにかかる危険性が大きいことを示しているので、家族歴から見て乳がんの発症率の高い女性は、この遺伝子の有無を調べるようすすめられることが多い。-----
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男性にも更年期のようなものがあるにちがいないと思っている医師は少数派ではあるが、45歳から60歳の男性の40パーセントくらいに更年期が訪れるという。

そのおもな症状をあげてみよう。

  • うつ状態。
  • 自分は能力に欠け無力だと感じる。
  • いらいらする。
  • 無気力。
  • 気分が変わりやすい。
  • 不眠。
  • 頭痛。
  • 集中力がなくなる。
  • 体重が増え(たいこ腹になる)、同時に筋肉が衰える。
  • 記憶力が減退する。
  • 性欲が衰え、性交能力が落ちる。
  • スタミナがなくなる。
  • 決断力が衰える。


こうしたさまざまな症状が、妻を捨てて若い女と駆け落ちをしたり、かっこいいスポーツカーに大金を払ったり、「中年の危機」症状があらわれたりする、いわゆる「7年目の倦怠期」を説明するとされる。

男性に更年期があるとすれば、それはテストステロンの欠乏のせいなのだろうか。

中年の男性はこの男性ホルモンの分泌量を検査して、必要とあれば補充すべきなのか。

大多数の医師はそうは考えない。

彼らは、この中年の危機を心理的な原因によるものではないかと考える。


親や友人の死を目のあたりにして抱く老化や避けられない死への不安、

妻との不和、

野心の多くがこの先けっして達成されることはないという自覚、

子どもたちが家を出たあとの気分的な落ちこみなどが原因だというのだ。


そのほかホルモンとはなんの関係もない身体的な理由もある。

ついに人生を狂わせてしまうほどの飲酒癖、治療せずにはうっておいた高血圧、喫煙、運動不足、循環器系の問題などである。

人生のこの時期に男性が自分のライフスタイル全体を見直し、きちんと改善すべきだというのは、だれしも認めるところだ。

たとえば、慢性のストレスを減らすように努力する、タバコをやめる、コレステロール・脂肪・塩分に注意する、運動の習慣をつける、年に一回健康診断をうけるなど、ライフスタイルを変えるべきである。


前述のような症状があらわれたら、医師にテストステロンを調べる血液検査をしてもらうとよい。

テストステロンの分泌が衰えると、体調不良をもたらすおそれがある。

ただし、45歳以降このホルモンの分泌量が低下しても、どこも悪くない健康な男性が多いので、その低下の重大性や影響ははっきりわかっていない。

テストステロンの分泌量の違いによって行動に違いが見られるひとつの理由として、このホルモンの存在のしかたが考えられる。

テストステロンはタンパク質から遊離していることもあれば、タンパク質と結合していることもある。

結合テストステロンは不活化するが、遊離テストステロンは活性化して、たくましさ、エネルギー、性欲、立派なひげをはじめ、男性が自慢に思う特徴をもたらす働きをする。

だが、決まりきったテストステロン検査では、この二つの存在のしかたまではわからない。

調子が悪いと感じていて、テストステロン分泌量が正常値以下ならば、補充剤を試してみるとよい。

低かったテストステロン量が正常値以上に回復した男性は、性機能だけでなく筋力や全身の健康状態にも改善が認められることを実証した研究もある。


テストステロン補充にも、エストロゲンと同じく弊害がある。

だから補充する必要があるようだと思っても、即断してはならない。

最もよく見られる副作用は体重の増加だが、それよりも気がかりな影響がいくつかある。
補充量が多いと、とくに若い人ほど、心臓発作や脳卒中をひきおこすという研究報告がある。

最も懸念している厄介な副作用は、よぶんなテストステロンが前立腺の潜伏がん細胞を活性化させ、増殖・拡散させるおそれがあることだ。

だから、前立腺がんにかかっている人はこの補充剤に手を出さないほうがよい。


どんなかたちで存在するテストステロンでも、それを抑制して作用しないようにするのが前立腺がんの基本的な治療法なのである。

良性の前立腺肥大がある人、睡眠時無呼吸症の人、血液が「濃い」人も、このホルモンの補充は避けるほうが無難である。

更年期について覚えておきたいこと


1 女性の更年期とは、卵巣が分泌するホルモンの量が急速に低下する時期である。

2 卵巣はエストロゲン、プロゲステロン、テストステロンの三つのホルモンを分泌し、それらの分泌低下が更年期症状の一因となる。

3 更年期は閉経する前の数カ月あるいは数年にわたってじわじわとつづく。この期間を閉経周辺期という。12ヶ月間生理がなかったら、閉経したとみなす。

4 閉経周辺期に妊娠可能な女性もいるので、避妊をやめてはならない。

5 更年期症状は、その性質や程度に個人差があるが、各人の症状がいろいろ変わることはない。

6 ホットフラッシュをはじめとする更年期症状のほとんどは、徐々に軽くなり、長くて二年もするとすっかり治まるが、延々としつこくつづく場合もある。

7 更年期の最大の弊害は、心臓疾患、骨粗紫症、脳卒中にかかりやすくなることである。

8 エストロゲン補充は更年期症状を抑えるのに有効だが、それよりも大事なのは、エストロゲン欠乏による深刻な合併症にかかる危険性を少なくすることである。

9 エストロゲンは子宮体がんにかかる危険性を増す。子宮を摘出していない女性は、その予防にエストロゲンとプロゲステロンを併用するべきである。

10 プロゲステロンを併用すると、エストロゲンの効能が、とくに心臓疾患にかんして弱まったり、「生理」がふたたび始まったりする可能性がある。

11 更年期の女性の性欲の衰えは、エストロゲン欠乏のせいというよりは、テストステロン分泌量の低下によるものと思われるので、エストロゲンを補充しても問題は解決しない。

12 エストロゲンは乳がんの原因だと言われてきたが、いまのところはっきりした証拠はない。だが、乳がんにかかりやすい女性は、エストロゲン補充療法を始める前に医師に相談するとよい

13 ホルモン補充療法をうけている女性は、年に二回の乳房X線写真による検査と半年に二回の乳がん検診をうけるべきである。

14 エストロゲン補充剤には経口剤、注射薬、腔に挿入する乳剤、貼り薬などがある。

15 男性の更年期という考え方は一般的に受け入れられているわけではない。

16 45歳から60歳の男性の40パーセントほどが経験する「中年の危機」のさまざまな症状は、ホルモンとは関係のない問題か、精巣のテストステロン分泌量の低下、あるいはその両方によるものと考えられる。

17 テストステロン欠乏の疑いがある場合は、血液検査で調べることができる。

18 テストステロンは、経口剤、注射薬、植込み剤、貼り薬で補充できる。現在のところ、最もよくおこなわれている投与法は貼り薬である。

19 テストステロンは、若い男性には血管障害をひきおこすおそれがあり、また、前立腺がんや前立腺肥大にかかっている男性はけっして使用してはならない。




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更年期とはなにか、

定義からすると、更年期とはある自然な過程であり、その過程が原因となって、さまざまな症状が45歳前後から出はじめ、強さを増しながら数ヶ月ないし数年、通常は50歳前後で閉経するまでつづく。

しかし、そうした症状は55歳までつづくこともある。

更年期症状がはじめてあらわれたときから月経が完全に終わるまでの期間を「閉経周辺期」という。

この期間は、後述するようなさまざまな症状がだんだんきつくなっていくのを特徴とする。


閉経は、女性がある朝日ざめて突然気づくといったたぐいのものではない。

卵巣のホルモン分泌が低下するにつれて、徐々に進む。

出血のしかたが不規則になり、生理の期間が短くなって、やがて完全に終わってしまう。
注意:月経のパターンが変化したときは、かかりつけの医師に相談すること。

生理期間以外に出血があったり、生理のときの出血量が多くなったときは、検査で問題ないと判明するまでは異常とみなすこと。

40代後半だというだけで閉経によるものだと勝手に決めこんではならない。

閉経とは関係のないほかの原因がいろいろ考えられるからだ)。

ほかになんの理由もなく生理が12ヶ月つづけて訪れなかったときに、閉経期に入ったとする。

(自然の閉経と卵巣の摘出による閉経は別ものである。卵巣摘出による閉経のほうが、更年期症状が唐突にあらわれ、たいていは症状がきついものだ。

薬物や放射線治療も卵巣にダメージをあたえ、早発閉経をひきおこすことがある。どのようなかたちで閉経が訪れたにせよ、最終結果は同じで、もうホルモンが分泌されなくなるのである)


生理が終わったあとの一年間は、まだ妊娠の可能性があることを忘れてはならず、避妊をつづけること。

子どもができるはずはないと避妊をやめてしまって、思いがけず40代後半でもう若くはない母親になってしまった例が、世間にはいくらでもある。

妊娠の可能性があるかどうかはっきりしないこの時期に避妊ピルを服用すると、たいていは更年期症状のいくつかが軽くなる。

それは、通常のホルモン補充療法で使用される量よりも多いエストロゲンがピルには含まれているからだ。

しかし、喫煙の習慣があったり、乳がんを患っていたり、あるいは、高血圧、高すぎるコレステロール値、糖尿病をはじめ、その他の要因で心臓疾患にかかる危険性が高い人には、ピルは禁物である。



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薄毛や脱毛の原因はさまざま。 女性の場合、全体的に髪が薄くなること(びまん性脱毛 症)が多い。 原因としては. ① 男性型脱毛症. 男性ホルモンに関係して起こる。 紙の 成長期が短くなり、ヘアサイクルの中で、早い時期に髪の成長が止まるため、細く短い毛 ( ... read more

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男性型脱毛症は男性のみの脱毛症と思われがちですが、女性の脱毛症の中にも、男性 ホルモンの影響により脱毛するものがあり、これも ... そのため、男性のような顕著な 脱毛は起こりにくく、髪がやせて全体が薄く見える「びまん性脱毛症」の症状となります。 ... 内臓疾患に合併するもの(膠原病、鉄欠乏症貧血、橋本病、バセドウ病、糖尿病、 ダイエットなどによる低栄養状態、亜鉛欠乏症) B. ... 例えば出産後に脱毛が起こる分娩 後脱毛症は、おなかの子供に栄養を取られてしまうことや、妊娠後期にエストロゲンなど の女性 ... read more

油断禁物! 女性の抜け毛の背後に潜む病気 [髪の悩み・対処法] All About

2007年12月6日 ... 毛髪が休止期のままで髪が細くなる脱毛症例:接触皮膚炎、脂漏性脱毛症、フケ症に ともなう脱毛、男性型脱毛症 ... 身体の状態や病気による脱毛症例:栄養障害による 脱毛(ダイエット、鉄欠乏性貧血など)、内分泌疾患に伴う脱毛(甲状腺機能低下、 甲状腺機能亢進など)、膠原病に伴う脱毛症 ... 特に出産後は、毛髪の発達を促進する 女性ホルモンであるエストロゲンが減少して、毛髪が一度に抜け落ちてしまいます ... read more

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